統一帝国

インペリア(帝国)

帝都とその周辺地域による統一国家。その帝国民のほぼ100%が帝都に住む。
帝都は大きく分けて「地文」「天文」「コロン」「旧市街」に分かれている。

帝国は、女帝である皇帝陛下を中心とする立憲君主制のコミュニティである。

帝国議会

遙か昔、群雄割拠の時代は終わり、統一帝国が建立してからのこと。
人々は軍事よりも民事や科学を重視するようになり、政治もまたその方向に進む。
そこには3代前の皇帝の、「民衆の為の独裁」と呼ばれた伝説の政権時代があったからである。
3代前の皇帝は、飴と鞭を上手く使い、旧敵国の地域に住む人々を手名付けた。
共に栄え、共に発展する事こそが、次の戦争を無くし、土地を互いに疲弊させる事もなくなるという思想である。

その結果、科学技術が政治の主権を握る事になる。
特にそれは、この星はいずれ近い将来捨て、素晴らしい大地へと移り住むことが前提となっているラシェーラ人ならではかもしれない。
移住の為の政策には莫大なお金がかかるが、説得力のある政策を立案出来れば、帝国民はそれを支持するからである。

かくして、政権は「天文(てんもん)」と「地文(ちもん)」という2つの団体に委ねられた。
現在、与党は天文であり、故に帝国中心の首都は上空100kmにある天文の都市に所在する。
もし地文が与党となれば、遷都ということになる。

地文天文

天文地文という2つの組織は、現在の地球ではあまり例のない組織形態である。
それは世界規模の組織であり、宗教団体でもあり、研究施設の役割をも持つ。
また、天文地文は政治団体としての色も持つ。
更に、住基ネットやクレジットカードの与信ネットワークとしての属性も持つ。
そして、双方とも絶対的権限を持つ首領によって統治される組織である。

このように多彩な性質を持つ組織になった理由は幾つかあるが、その最も大きな理由はやはりジェノムだろう。
以下に、それぞれの組織についての詳細を記述する。

地文

地文の歴史は古く、昔は「地文」とは呼ばれていなかった。
正式名称は「帝立ジェノメトリクス同調調停院」と呼ぶ。
地文の歴史は「人間とジェノムが、互いに最大限の利益を保持しつつ棲み分ける為の調停機関」から始まった為である。
その後、「ジェノムと人間が更に豊かに暮らせる為の施策」として、最先端の遺伝子工学の研究開発を行うようになり、地文は多岐にわたる組織の集合体になった。
現在では、ジェノムと同調した場合、その旨を地文に申請登録することが義務づけられており、地文ジェノムを保有する全員の個人情報を持っている。

まだジェノムを持つ者が少なかった頃、この事はさしたる問題にはならなかった。
だが、文明の進歩により、誰でもジェノムと簡単にコンタクトをとれるようになると、それに比例して地文はメキメキと力をつけてきた。
なぜなら、ほぼ全帝国民の個人情報を持っているのである。自ずと権力は強くなる。

そして、全ての民がジェノムと同調をするようになった近代において、地文は世界一権力を持つ団体となっていた。
しかし、その栄華も長くは続かなかった。天文が「シェルノトロン」を開発した為である。
僅か10年足らずの年月で、8割近くの人が、生身ジェノムからシェルノトロンへと鞍替えした。あっという間に地文は衰退したのだ。

地文は、天文の開発したシェルノトロンに民衆を取られた事にも危機感を持っていたが、それ以上に深刻な危機を予測し、民衆に啓蒙していた。
それは、シェルノトロンを使う事で生身のジェノムが絶滅の危機に瀕してしまうという事だった。
何百年、何千年もの間共存してきたジェノムが、ここ10年で激減していたのだ。
そしてそれに追い打ちを掛けるように、天文は第3世代端末(アルノサージュ管)の開発に着手する。
地文地文の正義において、ついに天文の行いを諫める決意をせざるを得なくなった。

地文は実に真面目な組織である。また、宗教色の強い組織でもある。
古きを重んじ、伝統を大切にする。万物の生命サイクルを研究対象としてきた地文は、だからこそ自然を畏れ敬っている。
そのバランスを崩す事を、人間はしてはならない、という事が、地文にとっての根底の考え方だ。
そんなノリであるが故に、民衆からも「頑固親父」的な印象を受けていたようだ。
そして、世の中が便利になってきた第6紀末期にもなると、シェルノトロンの出現もあってか、若者を中心に地文離れが起こったのである。

天文

天文の正式な名前は「帝立天文学量子波動学研究所」。
天文の歴史は浅い。
天文の発足理由は、当時の皇帝(イオン達の先代皇帝)がまだジェノムと同調していた頃、ジェノム「コーザル」からの啓示を受けて、
ジェノムが巨大な力を駆使できるよう、バイオと機械の橋渡しをするような管を作るよう命令したためである。
それは、地文が当時進めていた生命救済計画である「箱舟計画」を加速させるためであり、いわば「箱舟計画を促進させるために作られた科学者集団」なのだ。
すなわち、高度な技術を集結させ、一時も早く人々の移住を可能にするために生まれた機関なのである。

宇宙や時空間を専門に扱うため、「量子力学」をベースとした研究機関の組織である。
発足当時、天文は単体で動くことはなく、常に地文の付属組織として活動していた。
それは当時の「生命救済計画」が、「科学技術」と「ジェノムの魔法力」の融合によるものであった為だ。
また「生命救済計画」という、全人類レベルにおいて最優先の課題を背負っている事もあり、行政にも関わっていた。

そんな巨大な組織であった天文だが、民衆からの評判はイマイチぱっとしなかった(というか、知名度は低かった)。
なぜなら、民衆にとって惑星移住などの話は大きすぎてついていけず、よくわからない研究機関という印象が強かったのである。
また、当然民衆からの支持が厚いわけでもなく、法的には政治顧問の片翼を担ってはいたものの、天文の発案が採択される事は殆ど無かった。
だが、そんな裏方稼業が一変する事態が訪れる。それは「シェルノトロン」の開発と普及であった。

シェルノトロンは、いわゆる「人工ジェノム」とも言える存在だ。しかも、シェルノトロンの方がジェノムより優れた点は幾つもある。
まず、ファーストハーモニクスが必要ない、シェルノトロンが人間に合わせてくれる、形状が可変であり好きな形を作れるなどなど…。
シェルノトロンは次世代のジェノムであるともてはやされ、10年の間に殆どの人が移行した。
それと同時に、政治的な面でも天文の発言力は大変大きなものとなった。

天文地文と違い、元々が皇帝の寄せ集めた技術者集団である。
地文のような、古き悪しき伝統は持たず、枷となるような観念もない。
自由な研究と自由な環境を最も大切な事とし、観念に縛られる事を良くない事と考える。
そんな組織カラーによって、第6紀末期の若者を中心に爆発的に受け入れられる事になる。
実際、シェルノトロンも天文への利用者登録は必要だが、地文のように厳格でもなければ手続きも煩雑ではない。
そういった「今風の」感覚を持っていた事も、民衆を惹きつけた要因の一つであろう。

シェルノトロンをめぐる問題

シェルノトロンの登場以後、地文天文の関係は最悪である。
そしてお互いは、お互いの正義を貫く為に、決して対立姿勢を崩したりはしない。

特に地文天文に対する警鐘の激しさは半端無かった。

1つ目としては、ジェノムと人間が交流しなくなる事による、自然サイクルの破壊である。
実際、民衆がシェルノトロンへと移行した事により、ジェノム絶滅の危機が訪れている。
また、ジェノムとの交流による精神的な鍛錬が、シェルノトロンでは出来ない。
それによって、横柄で我が儘な若者が増えているという。
古来より数千年続いてきたスピリットが、急速に失われつつある。

これに対し天文は、時代の変遷とはそういうものであるという考えを持っている。
我々人間もジェノムも、数億年前は存在せず、恐らく数億年後にも存在しない。
全てに於いて「変わらない事」は1つも無いのであると。
もしシェルノトロンの登場によってジェノムが絶滅するのであれば、それは自然の摂理である。
なぜなら、自然の一部である人間が考え、自然に行動した結果の産物なのだから。
例えば太陽が今の10万倍のガンマ線を放出して人類が絶滅するのと何が違うのか。
ジェノムからシェルノトロンへと人の心が移っていったのは、我々が強制したものではない。
彼らが自然から授かった「マインド」がそうさせたのだ、と。

2つ目は、天文の次世代トロン(アルノサージュ管)の研究が公になったときに起こった。
アルノサージュ管は、外宇宙からエネルギーを取り入れる事を前提としていた。
この事に地文は大変な危機感を感じていたのである。
ジェノムとシェルノトロンの問題は、まだ自分たちの権力の問題も絡む不純な要素を含むものであったが、この2つめの問題は純粋にこの世界の未来を憂いでのものだった。
アルノサージュ管は、この完結した宇宙空間の外側から未知のエネルギーを取り入れるという、この宇宙全体に対しての未曾有の危険をはらんでいる。
この宇宙はこの宇宙で完結し、保存されたエネルギーの中で循環している。
それを外宇宙から取り入れる事でバランスを乱し、宇宙全体が取り返しのつかない事になったら、誰が責任をとるのかと。

それに対する天文の答えは単純である。
我々に可能な事でバランスを崩すほど宇宙がヤワな存在なら、とうの昔におかしくなって消えている、と。
我々さえも自然の一部であり、我々の行動自体も自然の営みである。植物が酸素を排出するのも、太陽が核融合するのも、我々が外宇宙とリンクを試みるのも同じ。
もしそれが宇宙にとって良くない事であれば、そもそも外宇宙とのリンクは成功しないだけだ。
そして、我々はそういった未知の領域に疑問を抱くように作られている。
それに挑戦し、新たな真理を発見する事こそ、我々の成長であり、生きる目的なのである…。

この議論は永遠の平行線であり、第六紀終焉まで続くこととなった。
そして第六紀末期には、この双方の正義に対し、知識人を中心に派閥が出来るようになる。
この論争は、最終的には惑星の寿命を縮め、人々を宇宙難民にする引き金を引く事になる。

インペラトル(皇帝)

皇帝とはすなわち、星の人になるということ。
アルシエル流に言えば、皇帝は人間の感情限界である、精神周波数11MHz以上を授かっている。
また、特殊な声帯を継承する事で、人間の声とは思えない声で詩を謳う事も出来る。

この世界で、皇帝の資格を持つ者は「女性のみ」である。

皇帝はこの世界を安定させる為に様々な祭祀を行う。
それは形骸化したものではなく、しっかりとした効果を持つものである。
皇帝には皇帝専用のジェノムが存在し、歴代皇帝と共に歩む。
だが、現在のジェノムは「シェルノトロン」に取って代わっている。
皇帝専属のジェノムは、通常の人間に扱えるものではない(現在の皇帝専用シェルノトロンも同様)。
先述の通り、皇帝は通常人間の出せる音域以上の声で謳える。
その為皇帝専属ジェノムは、その発声帯域を欲するジェノムであり、故に詩による効力も半端無い。
この世界では皇帝の力無くしては成り立たない。
故に、戦争のない近代的な国家となった現在でも、皇帝はこの世界を掌握する存在であり、立憲君主でもある。

そんな独裁者である皇帝に対し、民衆の支持は厚い。
その理由としては、皇帝に即位する形式が特殊であり、民衆の支持を得やすいという事が挙げられる。

皇帝は半世襲制であるが、実力主義でもある。
歴代の皇帝は、最低3人は子供を生むのが習わしとなっている。
歴代には15人もの子供を産んだ皇帝もいる。
そしてその中で最も優性な遺伝子を次の皇帝にするのだ。

皇位継承の儀(皇帝即位の際の過酷な試練)

皇帝は女性であり、代々先帝から声帯を賜ることで世代交代をする。
声帯を賜る時に非常に厳しい試練があり、皇帝になるのは楽ではない。
試練は公にして行う。
嫁達は綺麗に着飾り、民衆の前に並ぶ。
そして、スタジアム的な儀式の場に詰めかけた民衆の前からスタートする。
この日はオリンピック初日以上の盛り上がりになる。

ルール

儀式のルールは単純。
全てのステータスを剥奪され、世継ぎはその試練の間、全ての民の中で最も低い地位になる。
その状態で皇女は、自分の力で3年間を切り抜け、宮城に帰還しなければならない。
そして帰還した際に行われる国民投票で、最高の票数を得た者が皇帝となる。
3年間は身分証明も無くお金も一切持ち合わせない。一人ではどこにも入れず、何をする権利もない。
その為、如何にして他人を惹きつけてやってもらうか、という所が生き延びるポイントとなる。

皇女達がスタートすると、まず大抵は観衆が殺到し、その場は大乱闘のようになる。
これは、自分の選択した皇女に対し、支持を表明する為であり、かつ皇女が皇帝になったときに自分が出世するチャンスを作る為。
毎回即位後に、この3年間での功労者、自分の恩人は出世するか、宮城入りするか、手厚い保護を受けるのだ。
故に民衆はしたたかであり、相当重要な事情が無い限りは、最も皇帝になりそうな皇女に着こうとする。
この時既に試練が始まっている。皇女はその民衆を統率し、騒ぎを沈静化しなければならない。
そして、如何にスムーズに、沢山の味方を増やすかは、初期においてはこの場で大きく差が付く。

大抵最初の1年間は、全皇女は困る事はない。支援者がいなくなる事はまず無い為だ。
だが、時が経て行くにつれて、皇女の事を民衆はわかっていく。
そして、民衆は比較的さらっと支持する皇女を変更していく。
だから、カリスマのない皇女は3年目ともなれば、殆ど支持者もいなく、孤独に過ごす者も出る程だ。
というか、だいたいそれ程までカリスマが無くなると、民衆に見つかる度にいじめられる事すらある。
民衆はもてはやすだけもてはやし、何か不祥事が有ればさーっと消え、存在自体を忌み始めれば排除にかかる。
カリスマを失った皇女は生きていく事は出来ない。3年の間、全くの社会的権利を持たないのだから。

皇女の衣

さて、この試練において重要な要素として「皇女の衣」というものがある。
これは、皇女が初期状態で全員身に纏っている布の事で、だいたい2m四方の布だ。
この布は、唯一自らが正統なる皇女である事を証明する手段である。
当然この布を失えば、皇帝になる権利は剥奪されてしまう。だが、一片でも持っていれば権利は十分にある。
何が言いたいかというと、最終的に持っていれば良いのは1cm四方の欠片でも良く、それ以外は自由に使って良いという事である。

皇女の衣の切れ端は、この3年間を生き延びる為に重要な役割を担う。
それは、それが民衆に対して絶対的な権力を持つ為だ。
皇女の衣を持っていると、例えばその皇女が皇帝となった時に、布の大きさに比例して強大な力を持つ。
だからこそ、皇女は衣の使い方にもの凄い頭を使う。
取引に使うか、感謝の気持ちで渡すか、大きめで少数か、小さく刻んで多数の人か。
初期でどれだけ使い後期にどれだけ残すか、そして、布を狙ってくるずる賢い民衆をはねのける事が出来るか。
この衣の使い方1つとっても、政治力の試練なのだ。

尚、皇女の衣を複数皇女分持つ事はタブーとされている。法的には問題ないが、民衆的に許さない。
大抵の場合、皇女が衣を与える場合、他の皇女の衣は捨てさせる。
もちろん隠しておけば簡単に隠せるが、見つかったら周りの同志から、良くて半殺しの目に遭うのは必至である。

民衆の反応

さて、この一種の「3年間の祭り」とも言える試練は、民衆にとっても特別な時期である。
だが、実際にこの時期に(下心が殆どだが)皇女と接触しようとする輩は少ない。
全人口の10%いるかいないかだろう。残りの民衆は、興味がないか、興味有るけど諦めているか(自分が皇女様の目に止まるわけがない、など)である。
民衆が比較的諦めがちなのには、そういう所に寄っていく人間は大抵、力が強かったり頭が良かったり金持ちだったり、普通ではない人が多い為である。
下手にその中に足を突っ込んで痛い目に合えば、今の安穏な生活すらも失う危険性を孕んでいるのだ。

では、そういった民衆はどこで皇女を判断するかというと、「噂」や「ニュース」、そして「遠巻きに見て」判断するのである。
だから皇女は、自分の取り巻きがガッチリガードしてくれるからとか、資金提供を無尽蔵にしてくれるからといって、安心していてはならない。
3年間ガードしてくれた連中が全員ヤクザだったら、民衆はその皇女には投票しないだろう。
自分が皇帝になれるか否かは、自分の周りにいない90%の人々にかかっているのである。
故に、そういった人々に如何にいい印象を与えるか、といった事にも頭を使わねばならない。

タブー

この試練の間のタブーは、民衆の生活上のタブーと何ら変わらない。
犯罪は厳禁であるという事だ。それも更に手厳しい。
例えば犯罪を犯した者が、とある皇女と繋がっている証拠がある場合、その皇女にも責任が行く。
人殺しをした者が衣の切れ端を持っていた場合などは絶望的である。その時点で殆どの場合、その皇女は皇帝即位権剥奪になる。
故に、皇女たちは少なくとも表面上は、争いが起こる事を恐れるのが普通である。
それはシンパもわかっている(ケンカをすれば自分の皇女が不利になる)為、シンパ同士のケンカなどが大っぴらに行われる事は無い。
皇女自身も、もの凄いバカか、もの凄い頭が良くなければ、おいそれと皇帝即位権剥奪の為の工作をしたりはしないだろう。
仮に剥奪皇女が出てしまった場合、その皇女や狂信者たちが他の皇女をズリ下ろす為に捨て身の行動をとる事は想像に難くない。

ジェノム及びシェルノトロンについて

この大会中、皇帝候補であってもジェノム、シェルノトロンの登録や行使は認められている。が、譲渡は認められていない。
ジェノム、シェルノトロンの直接的な贈与は禁止されているのである。
(そもそも法律上でも、ジェノムやシェルノトロンを譲渡するときは、天文地文への申請が必要。単純に候補者への譲渡が許可されていないだけ)
更にシェルノトロンについては販売も禁止されている。実質、期間中候補者は、理屈上シェルノトロンを手にすることは出来ない。

なぜジェノムはOKでシェルノトロンはNGかというと、ジェノムの場合、まず探してファーストハーモニクスする事自体が試練の1つとなりうるからである。
故に、過去の候補者は、ジェノムを自分で見つける事によって手に入れてきたし、入手が早いほど勝機が高まる。
シェルノトロンという存在は、今回の試練で初めて登場したものだ。
故に委員会では様々な議論が飛び交ったが、最終的にはシェルノトロンは全面禁止の決議がなされた。
理由は「シェルノトロンの入手があまりに容易であるため」である。
天文はこれに大反発したが、皇室の決定により、この決議が覆ることはなかった。

地文天文の荷担

皇女の中には、地文天文の高官を父に持つ皇女も存在する。
そういった場合、地文天文といった組織総出、もしくは派閥で支援する事もあるが、それも特に問題はない。
ただ唯一決まっている禁止事項は、天文地文、皇室の母体組織に属する全員とその家族は、支援も不可であり投票権もない。
日本で言えば、政治家とその家族、もしくは国土交通省の官僚とその家族は支援禁止で投票権もないのである。
これも隠れて行う事は出来なくもないが、警察機関は3年の期間中、対象者の支援行為も犯罪として扱う事になっており、目を光らせている。

ジャッジメントとロガー

現皇帝は、この試練を開催する前に、天文地文、そして皇室の、政局に関わる全員に対し、開催に同意する契約をしなければならない。
その同意は、全ての該当者は期間中皇女と関わらない事、そして期間中の監視ログをジェノム経由で取られる事、の2点も含まれる。
要するに、開催期間中にこの2点が行われる事に全員が同意しなければ、試練を開催する事は出来ないのだ。
この同意によって、期間中、皇女と接触した宿主のジェノムは、ロガーと呼ばれる特殊なジェノムに正確にその内容を報告しなければならない。
それ以外にも、関係有ると疑われる全ての行動は、ロガーに伝えられる事になる。
ロガーは全ての情報をジャッジメントと呼ばれる人間に伝え、ジャッジメントはそれを判断し、過干渉か否かを判断する。
この取り決めは絶対であり、ジェノムは宿主と結託して、情報を偽造する事は許されない。
この期間だけは、契約に同意した宿主とジェノムはロガーによって定期的に監視される事になる為、おいそれと悪巧みは出来ない。
これによって政局と皇女はほぼ断絶される形となり、皇女達は民衆の間で、自分の力だけで生き延びる事になる。

この試練は言わずもがな「カリスマ」「政治力」「戦略思考」「体力」「決断力」「運」といった、
民衆をまとめていくのに必要な力を一番持っている皇女を選出する為のものである。
また同時に、民衆と交流をさせる事で、民衆が選んだ皇帝に対して不和やクーデターなどを起こす事を防ぎ、平和な社会を永続させる狙いもある。

最後の試練にだけ起きた特殊な状況

イオンの時と、先代までの時との決定的な違いは、それまでは警察役としてジェノムが中立的立場からログを集めていたが、それが微妙にあやしい点である。
前回の試練の時はまだジェノム全盛の時代だったわけなので、実はイオンの回がシェルノトロン時代の第1回目なのだ。
今まで生ジェノムがやってきた「契約と監視」を、今回はシェルノトロンが行う事になる。
だが地文はそれを不服とし、従来の伝統通り、生ジェノムが行うべきであると主張した。
それに対し天文は、ジェノムは既に中立的立場には存在しないと指摘する。
結果、今回は生ジェノムとシェルノトロンの両方で監視を行い、両者の報告がほぼ一致する場合に正確な報告とする事とした。

一見ガードが強化されたかのように見えるが、実際は天文地文の泥沼の争いが発生する事になる。
また今回において、確かに生ジェノムは中立の立場ではなかった。自らの生き残りを賭けた戦いが重要である為、その役割に歪みが生じていたのである。
それでも表面上は決して悟られてはいけない(ジェノムの向こう側にはロガーが存在するから)ので、主に水面下での争いになる。


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Last-modified: 2015-04-16 (木) 12:58:08 (833d)